銅版画制作プロジェクト“波止場テープス”実施
今夏より上田良と山口麻加による銅版画制作プロジェクト“波止場テープス”を始動します。かつて同じ工房で銅版画の制作に明け暮れた二人が再集合し、ドローイングや銅版画の制作・研究に勤しむという試みです。
今年は「 波止場テープス '24 summer session」と題し、版画集の制作、9月にはオープンスタジオを予定しています。
これまで上田は版画や写真作品、ドローイング作品の制作を行ってきました。またアーティストユニットTHE COPY TRAVELERSの一員として複製やコラージュの可能性について考えてきました。山口は版画や転写技法を用いて、イメージが刷り取られる現象、支持体である紙とインクの関係に着目し平面を中心に作品を制作してきました。また2016年からは新栄にオルタナティブスペース兼スタジオの「波止場」を主宰し、作品や芸術活動を通じて同時代のアーティストとの交流を行なってきました。
今回は山口が拠点とする名古屋港に活動場所を移し、新たにスタートさせた版画工房「波止場 (studio) 」で制作を行います。銅版画作品から作家としてのキャリアをスタートさせた二人が、約10年のそれぞれの活動で得た経験や感覚を活かしながら、再び銅版画に向き合ってみたいと思います。
テープとは、布や紙、金属などを薄く細長く加工したものを指します。また、映像や音を記録するための磁気テープ、測定を行うためのメジャーなども一種のテープといえます。用途によって様々なテープが存在しているのですが、私たちにとっての銅版画は、見たもの・聞いたこと・その時々の関心事を刻みこむことができるいわゆる一種のテープだといえます。薄い銅版の表面に刻まれる僅かな溝に、2人のセッションの記録を残し、伝えてみようと思います。
上田良・山口麻加
波止場テープス '24 summer session|STUDIO WORK
期間|2024年7月30日(火)–8月3日(土)
場所|
波止場 (studio)
名古屋市港区浜1丁目2-23(旧・喫茶アラモ)hatoba-nagoya.themedia.jp
*制作の見学を希望される方はhatoba.shinsakae@gmail.comまでご連絡ください。
日時によって見学が難しい場合もございますので、ご了承ください。
上田良(うえだ・やや)
1989年 大阪府生まれ
2012年 京都精華大学芸術学部メディア造形学科版画コース卒業
2014年 京都精華大学大学院芸術研究科博士前期課程修了
自作の造形物を撮影した写真作品をはじめ、版画やドローイング、コラージュなどの制作を行い、様々な場所に存在していたものたちが関係し合う瞬間に立ち会いたいと思い、制作をしている。またアーティストユニット「THE COPY TRAVELERS」の一員として「複製」という手法の可能性について実験を試みている。
近年の主な展覧会
2024年「理想の家」アート/空家二人(東京)、2023年「METAL GLUE / スロウ・ドローイング苑」ニュースペースパ(東京)、「Ginza Curator’s Room #005 天使のとまり木」思文閣銀座(東京)他
www.yayaueda.com
山口麻加(やまぐち・あさか)
1991年 大阪府生まれ
2013年 京都精華大学芸術学部メディア造形学科版画コース卒業
2015年 愛知県立芸術大学大学院美術研究科美術専攻油画・版画領域修了
モノタイプやコラグラフなどの版画技法を用いて、紙やインクといった物質とイメージの関係性を追求している。また、2016年より名古屋市内でオルタナティブ・スペース「波止場」を主宰し、展覧会やイベントなどの企画も行う。2024年からは印刷家の嶋崎イズルと「一〇六印刷団」を結成し、人や社会と関わる手法として、さまざまな版画技法や印刷、プリントカルチャーを研究・実践している。
近年の主な展覧会
2023年「国際芸術祭地域展開事業 なめらかでないしぐさ 現代美術展 in 西尾」西尾市各所(愛知)、2021年「エマージング・アーティスト展 part2」銀座蔦屋書店 GINZA ATRIUM(東京)、2020年「VOCA展2020」上野の森美術館(東京)
asaka-yamaguchi.com
0コメント