波止場テープス '24 OPEN STUDIO
今夏より上田良と山口麻加による銅版画制作プロジェクト“波止場テープス”を始動しました。かつて同じ工房で銅版画の制作に明け暮れた二人が再集合し、ドローイングや銅版画の制作・研究に勤しむという試みです。
今回のオープンスタジオでは、版画集制作の様子を公開するほか、一部作品やドローイングなどを展示します。名古屋港周辺でのスケッチや観察を元に、それらをエッチング作品に落とし込むことを試みています。
8月に行われた制作合宿は、エッチング技法ができる環境を整えるため、物品を集めることから始まりました。今まで学んだ知識をフル動員させながら互いにアイディアを出し合い、製版や刷りができるようになりました。
活動場所である波止場 (studio)は夕方になると激しい西日が差し込んできます。その強烈な光の中で見る刷りたてのエッチング作品は、今まで見たことのなかった不思議な質感を持つものでした。銅版と紙がプレス機によって圧着され、紙の表面がわずかに毛羽立つこと、銅版の溝から紙に刷り取られたインクが、一本の艶やかな糸のように変化すること。それらの美しい現象は、きっとこのスタジオでしか気が付かなかった小さな発見だと思います。私たちの作品が、版画集としてどのようにまとめられるかはまだぼんやりとしていますが、小さな発見と研究の様子をご覧いただけましたら幸いです。
波止場テープス '24 OPEN STUDIO
開催日|9月6日(金)・7日(土)・8日(日)
時間|14:00−19:00
参加|無料(予約不要)
場所|波止場 (studio) 名古屋市港区浜1丁目2-23(旧・喫茶アラモ)
https://hatoba-nagoya.themedia.jp/
上田良(うえだ・やや)
1989年 大阪府生まれ
2012年 京都精華大学芸術学部メディア造形学科版画コース卒業
2014年 京都精華大学大学院芸術研究科博士前期課程修了
自作の造形物を撮影した写真作品をはじめ、版画やドローイング、コラージュなどの制作を行い、様々な場所に存在していたものたちが関係し合う瞬間に立ち会いたいと思い、制作をしている。またアーティストユニット「THE COPY TRAVELERS」の一員として「複製」という手法の可能性について実験を試みている。
近年の主な展覧会
2024年「理想の家」アート/空家二人(東京)、2023年「METAL GLUE / スロウ・ドローイング苑」ニュースペースパ(東京)、「Ginza Curator’s Room #005 天使のとまり木」思文閣銀座(東京)他
www.yayaueda.com
山口麻加(やまぐち・あさか)
1991年 大阪府生まれ
2013年 京都精華大学芸術学部メディア造形学科版画コース卒業
2015年 愛知県立芸術大学大学院美術研究科美術専攻油画・版画領域修了
モノタイプやコラグラフなどの版画技法を用いて、紙やインクといった物質とイメージの関係性を追求している。また、2016年より名古屋市内でオルタナティブ・スペース「波止場」を主宰し、展覧会やイベントなどの企画も行う。2024年からは印刷家の嶋崎イズルと「一〇六印刷団」を結成し、人や社会と関わる手法として、さまざまな版画技法や印刷、プリントカルチャーを研究・実践している。
近年の主な展覧会
2023年「国際芸術祭地域展開事業 なめらかでないしぐさ 現代美術展 in 西尾」西尾市各所(愛知)、2021年「エマージング・アーティスト展 part2」銀座蔦屋書店 GINZA ATRIUM(東京)、2020年「VOCA展2020」上野の森美術館(東京)
asaka-yamaguchi.com
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